2014/10/18

アーティファクト・ゲーム 大阪湾攻防戦

このポストは、アーティファクト・ゲーム の続きです。ぜひそちらを先にお読みください

地球の裏側から、様々な国の国境を超え、リンクをつないで地球を半周させ、アーティファクトを日本まで運ぶことはできるでしょうか。

今回、世界中に出現した40のアーティファクトの目的地となるポータルは、レジスタンスはオーストラリアのシドニー、エンライテンドは日本の兵庫・西宮にある「アサリガイ(Clam Shell)」に現れました。日本のエンライテンドは、世界から集まるアーティファクトの受け入れを目指します。しかし、その道のりは平坦ではありませんでした。

ここでは、日本に上陸したアーティファクトの一つ#9を巡る、大阪湾攻防戦の様子を、エージェントからのレポートを通して、伝えたいと思います。

アーティファクト#9の旅は、日本から見て地球の裏側、チリの南部から始まりました。現地のエンライテンドエージェントはこれを国外、それも遠く離れた日本へと送り出すために奮闘を開始します。

南米のエージェントたち
チリに現れたアーティファクト#9

全てはチリ南部から始まった。レベル7や8のエージェントが少なかったが、エージェントは各地から駆けつけて#9を保持した。アルゼンチン北部のサン・ルイスへ運ぶための戦いは、2週間に及んだ。

レジスタンスのエージェントグループがサン・ルイスに来た時は、チリのアントファガスタへ、#9を避難させざるをえなかった。

チリ北部ではさらに激しい戦いがあった。レジスタンスエージェントが#9を奪って、チリ北部のイクイキューへと送ったのだ。4人のエージェントが、飛行機で駆けつけ、#9を取り戻した。600ドルの旅だ。
Hugo Contreras のレポートより


彼らはその後も激闘を続け、遂にペルーからメキシコを経由して、#9をハワイへと送り出すことに成功します。

ペルー西岸からメキシコを経由してハワイへの国際トス

南米のエージェントの思いが託された #9 を、ゴールへと導くべく、日本のエンライテンドは ハワイチームとプランを調整していきます。

Artifact #40, #9のために、ハワイチームとの交渉・スケジュール調整を担当しました。日本から挙げられた複数のプランについて、ハワイチームに説明し、プランの変更連絡等も随時実施しました。特に、Artifactイベントの終盤では、Artifactの移動間隔が、1時間から30分、15分等に変更される可能性を考慮して、ハワイからの移動パターンを作成し、調整を行いました。
 +Masahiro Kiura のレポートより

日本・アメリカの協力で #9 は日本へ


そして、Heliosシリーズの最終日である9月27日、エンライテンドはハワイから室戸岬に辿り着いた #9 を兵庫・西宮のポータル「Clam Shell(アサリガイ)」へとゴールさせる作戦「オペレーション・アサリの酒蒸」を決行しました。エンライテンドは一週間前に#40を見事にゴールさせています。レジスタンスは前回を上回る入念な計画で迎え撃ってくることが予想されました。

+Masahiro Kiura と +hori atsushi のレポートより抜粋。詳細は本レポートを。
9/27
関西チームは、様々な事情から24時頃の受入れを目指したかった。しかし、日本時間で24時ゴールを目指すと、ハワイチームは夜中から明け方の作戦となる。前回その時間での作戦を強いたハワイチームに、再度24時受入れと言うのはできないと思った。その為、今回は日本へのArtifact受入れを21:00(JST)とした。

受入れ方法は多数の案を検討した結果、前回と同じく室戸岬からアサリガイヘ直接蹴りこむ方法を選んだ。

前回の教訓を踏まえ、前回手薄だった和歌山へ遠征チームを派遣、同時に紀伊水道の要である友ヶ島にもAgentを派遣した。最終の渡し船で島へ渡れば翌日まで戻れない、キャンプ覚悟の派遣だ。

そして、ハワイ~室戸~沖縄の間に妨害Linkを出させないため、室戸岬~潮岬~式根島~野島崎という関東から関西に至る太平洋岸を完全に封鎖する妨害阻止Linkを作ることになった。
そして友ヶ島を中心に紀伊水道から大阪湾に縦リンクを張り巡らし、最後に友ヶ島をADAしてLinkを切ると同時に室戸岬からアサリガイヘLinkを通す。計画が完成した。

9/28 AM
大阪湾岸地帯と淡路島東岸には立ち入り時間に制限のあるポータルがいくつか存在する。
特に堺にある「スクラップシュート」と神戸の「神戸空港」、泉佐野の「関西国際空港」は湾内に突き出た場所にあり、関西国際空港以外は時間制限も有る戦略上最重要拠点だった。
淡路島及び友ヶ島遠征チームには、重要拠点のキーを事前に渡した。確実に抑えるべきポイントだった。

17:20
アサリガイチームの集合場所へ向かう途中、衝撃の報告を受ける。
「スクラップシュートの制圧に失敗」

17:30
室戸岬及び神戸と友ヶ島にガードリンクを張る計画だった。計画は誤ってはいなかったが、青エージェントが多方面に展開し、緑が大阪湾に張ったリンクはことごとく切断される状況。

22:00
22時までに作戦の完了を目論んでいたが、両陣営の拠点となりうる神戸空港に緑エージェントが追加で参戦したにもかかわらず、青の勢力は衰えず、23時のチェックポイントも、ただ過ぎ去って行った。一方、淡路島では、ENLチームが生石公園エリアで待機し、大阪湾の妨害リンクを阻止しようとしていた。途中参戦でかけつけた緑のエージェント2人は車で二手に分かれ、大阪湾のブロックリンクを切るために奔走した。長い時間にわたってこの攻防は続いた。

24:00
24時を過ぎても事態は打開されず、すぐに25時はやってきた。日付が変わっても、ターゲットポータルの周辺では、舞洲エリアで何人かの緑エージェントが近隣からの青の邪魔リンクを阻止するためガードリンクを作るべく奮闘していた。やはり青のほうが優勢で、アサリガイエリアに対して何度も邪魔リンクが張られた。


エンライテンドの司令塔を担当した +hori atsushi は、レジスタンスの激しい抵抗と、陣営の人員不足、特に淡路島のリソースが足らない中、予定していた25時の受け入れを諦める決断を下します。室戸、潮岬など、遠方へ走ってる仲間や周辺で走り回ってる仲間、アサリガイで辛抱強く待っているエージェントたち、日本までアーティファクトを運んでくれた海外のチーム、彼らの苦労や犠牲(時間やお金)をすべて無駄にするかもしれないというプレッシャーに押しつぶされそうになったと言います。
彼は、最後に立ち上がります。

26時も近づき仲間全員に焦燥が見られる中、最後の決断を下した。
”27時のチェックポイントが、最後の戦いだ”
大阪、神戸、淡路島、そしてその他すべてのオペレーションに携わる緑チームのメンバーは、27時に向けて最後の力を振り絞った。


レジスタンスのブロックリンクがすべて消されたのは26:15。英語版のレポートを投稿した +Masahiro Kiura は、それを「奇跡のようだった」と書いています。

極秘に和歌山で潜んでいた @Danatea が加太から舞洲と南港へと伸びていたリンクを切り、ついにリンク可能なポータルがスキャナーに現れた。ガードするリンクが張られ、さらに増えた。淡路島の @Touji は、神戸へのガードリンクを即座に張った。レジスタンスの島からのリンクは @yhafei によって一掃された。

その緑の線たちは、まるで咲き誇る花のように美しかった。淡路島の生石から西側のリンクが、和歌山の加太から東側のリンクが、そして、中央には、まっすぐ長い、全てのエンライテンドチームがずっと待ち望んでいたリンクがあった。

室戸岬のエージェントの準備はできていた。ハワイから運ばれてきた#9を確実にキープしていた。そして、時は来た。アサリガイへのリンクは、張られた。

ターゲットポータルでは、エンライテンドエージェントが最後の仕上げをした。真実の瞬間だった。四国のエンライテンドもいた。何が起こるのか、みんなわかっていた。「10, 9, 8, .....3,2,1,0」27時になった。そして、#9は遂にアサリガイに安置された。長い旅はついに終わりを迎えた。
Clam Shell(アサリガイ)に到達したアーティファクト
アサリガイで戦ったエージェントたち


エンライテンドがレジスタンスの堅守をついに破る瞬間を、タイムラプスで捉えた映像が +UTaro Ingress の手によって残っています。その美しさは、まさに花のようです。(2:25辺りからがその瞬間)


守ったレジスタンスも、エンライテンドをギリギリまで追い詰めました。
この時、オペレーター役を務めていた +Tomohiro MATSUDA は、こう回想しています。

結果的には読み読みが甘かった部分を突かれて押さえ込まれゴールされてしまいましたが、このあたりは少しの差だったように思えます。上手く行けば1~2時間いや、下手したらもっと粘れたかもしれないだけに悔しいところですが、ともあれだいぶ妨害できたと思っているので満足です。

実際、この27時の総攻撃が成らなければ、エンライテンドは諦めていたかもしれません。

地球の裏側から、各国のエージェントの思いの乗ったアーティファクトを、ゴールへと運びきったエンライテンドは本当に見事でした。彼らの作ったこのオペレーションのエンドロールを見てグッときてしまったのは僕だけではないはずです。




後日、このオペレーションに参加したエージェントがこんなポストをGoogle+に上げていました。

+たなかたけ  originally shared:
なんかね、 #HELIOS も終わって平穏な日曜日を過ごしながら湾岸線を走ってるだけなのに、いつもと世界の見え方が違うの
それぞれの沿岸部で起きたストーリーや、それに関わったたくさんの人達、海の向こうに張られたリンクの先にあるもの、そんなたくさんのものが見える。

「あなたの周りの世界は見えたままとは限らない 」

そういうことだったのか。




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